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機械保全に役立つ豆知識

機械保全に役立つ豆知識をご紹介しています。

Vol.4 シールの基礎知識

●シールの定義
JISでは「互いに接触した部分の間から流体の漏れを防ぐ機械要素をシールと呼び、そのうち静止部分間に用いられるものをガスケット、運動部分に用いられるものをパッキン」と定義されています。

●シールの分類
シールは、1)接触する部分の運動状態 2)シール対象の流体 3)接触面の状態 によって選択します。大まかな分類をすると、下記表の通りとなります。
 

●シールの損傷原因
一口でシールの損傷と言っても、はみ出し・ねじれ・切断・早期摩耗など色々なケースがあります。
損傷が起こった場合の原因として以下を参考にしてください。
1)シール構造・シールタイプの選定に問題はないか?(専門メーカー様に問い合わせてください)
2)シールの材質と流体との相性はよいか?
3)クリアランスの設定値が適正か?(Oリングの潰し代・シールのリップ押しつけ量など)
4)運動速度は適正か?(推奨条件よりも早い速度で軸回転していないか)
5)リップコンタクト部の表面処理・面粗度はよいか?

損傷原因は使用環境によって大きく左右されます。専門メーカー様へ相談することをおすすめします。
適切なシール構造は、設備稼働率を上げ、メンテナンス費用の削減につながります。

●オイルシールの挿入法
・金属環付オイルシールの場合
相手側に対して若干大きめになっている。(振動によるシールの外れを防ぐため)
ハンマーで直接たたいて入れない。
金属環の変形を招き、それによってシール部も曲がり漏れの原因となる。
シールを直接たたかず、平板などをあて軽くたたく様にするとよい。
Oリングには少しグリースを塗る。
Oリングが外れない様に少しグリースを塗ってはめこむと入れやすくなります。
バックアップリングを使用するときは、内側のエッジ、向きやつなぎ目に注意して下さい。

・ガスケットの使い方
ガスケットには、圧縮後の復元によりシールするため、復元力が弱ければシール効果が得られなくなります。選ぶガスケットの厚みに注意!

Vol.3 潤滑油について

●潤滑油の汚れに注意!
潤滑配管や潤滑機器へ、空気やスラッジ等の異物が混入してしまう事があります。異物が混入すると、潤滑性能が低下するだけでなく、機械の摺動面や回転面にダメージを与えます。また、異物が混入したことにより、配管が詰まったり破裂したりする事もあります。機械の故障のほとんどが、潤滑油に起因しているため、定期的な点検が必要です。
OK
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●潤滑油に水分が含まれていると注意!
クーラント液やエアー源の水分が混じると、白濁し、潤滑性能が低下します。また、旋盤のブレーキオイルに水が入ると、水分が高い温度で熱せられ蒸気が発生し、気泡ができることで、ブレーキが効かなくなることがあります。

●潤滑油の過度な温度上昇に注意!
オイルの温度は60度以下で管理しましょう。60度以上になると、オイルが劣化します。劣化し粘土が低下することで潤滑性能も低下し、機械の摩耗を早めて、故障を招きます。

●オイル量の低下に注意!
始業前には必ずオイル量を点検しましょう。日常運転を続ける中で、オイル量も減っていきます。適正量で管理し、適正範囲から外れていたら補充をしましょう。また、期間を定めて、定期的にオイルの交換も行いましょう。タンク内に予想以上の異物が沈殿しているかもしれません。

●グリースの塗り方に注意!
1)ベアリングにグリースを塗布するとき、大量のグリースを使用する人をよく見かけます。また、ギヤなどにグリースを塗布する場合に、余分なグリースを拭きとらず放置していることがあります。例えば、ベアリングのグリースが多すぎると回転抵抗が多くなり、早期故障につながります。また、余分なグリースを放置した場合は、周辺機器に悪影響を及ぼします。適正量のグリース塗布と余分なグリースの拭きとりを心がけてください。
OK
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2)グリースを塗布するときには、グリース缶の蓋を速やかに閉めましょう。長く空気に触れると劣化につながります。
グリース缶の蓋を速やかに閉めましょう

 3)主軸などの回転ベアリング部分にグリース塗布を行なう場合、軸受部の発熱でグリースが溶けて流出してしまう場合があります。そういった時は、ベアリング両サイドにグリース溜まり用のスペーサーカラーを設置し、流出を防止してください。

Vol.2 メートルとインチのボルトの違いについて

ボルトのねじ部には、メートル系とインチ系があることは皆さんもご存じだと思います。
古いボルトを新しいボルトに交換し締めてみたところ、「ボルトが入らない!」といったケースも少なくないのではないでしょうか。
ここではその違いについてご紹介します。

●ねじ山形状
 ミリ  インチ
ねじ山−ミリ 

 ※ほぼ全てに使用されている
 ねじ山−ユニファイ
ユニファイ
 
 ねじ山−ウィット
ウィット
※現在はほぼ使用されていない

●見分け方
ミリのボルト1)径とピッチを確認する
  例:ユニファイ No.6-32UNC(25.4mmにつきねじ山が32)
2)六角ボルトの頭にミリの場合は「M」と表示されているものもある(全てではない)

特にアメリカ製の機械はこの点にご注意ください。

Vol.1 ナットとボルトの締め方と点検法

ナットとボルトは、部品と部品、あるいは機器を締結するために使用される主要部品ですので、そこに緩みが生じたり、折損が発生したりすれば、たちまち機械精度が乱れ、故障の原因になってしまいます。

ボルトの種類●ボルトの種類
ボルトには多種あります。
材質も、鋼、ステンレス、アルミ合金、チタン合金など多種にわたります。
軸部すべてにネジ切りされているものを全ネジと呼び、先端部から一定の長さをネジ切りしているものを半ネジ、または、中ボルトと呼びます。
また、頭部形状によりそれぞれ異なる名称で呼ばれています。
ボルトの種類六角ボルトは、頭部が正六角柱形状のもので、ボルトの中で最も多いタイプのものです。
皿ボルトは、頭部が逆円錐形状のもの。
アイボルトは、頭部がリング形状のもの。
アジャストボルトは、床面に接するため、頭部の面積が大きくなっているタイプ。
アンカーボルトは、設備機械の固定のためにコンクリートに埋め込むタイプ。
蝶ボルトは、頭部が蝶の羽形状のもの。

●ボルトの点検法
ボルトの緩みは、輸送中や使用中の振動によって急速に進むことがあります。
6本で同一面を締めている場合、そのうちの1本が緩んでしまうと、残りの5本に余分な力がかかる(20%)ことになりますので、5本のねじが次から次へと緩んでしまいます。
定期的にボルトに緩みがないか点検しましょう。
1)ボルトには、合いマークをペンキなどで入れ、適切な位置表示を行い緩みの状態を判定します。
ボルトの点検方法
2)ナットを横からたたいてみましょう。この時、ハンマーの柄の先を持ちます。
ボルトの点検方法
カンカンという鋭い音がしたらOK。鈍い音がしたら緩んでいます。

株式会社光機械製作所
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